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オランダの有権者は、移民への懸念から極右が政権に就く中、世論調査に参加した。

公開日
2025-10-24
メディア
ALJAZEERA
記事要約
オランダでは、連立政権の崩壊を受けて10月29日に総選挙(任期途中の解散・再選挙)が行われる。右派政党・自由党(PVV、党首ヘルト・ウィルダース)の支持が再び高まっており、世論調査では最多議席を得る見込みだが、比例代表制のため単独過半数は不可能で、今回も連立が不可欠とみられている。

PVVは2023年の選挙で第1党となり、農民市民運動(BBB)、新社会契約党(NSC)、自由民主党(VVD)と連立政権を組んだ。しかし2025年6月、移民政策をめぐる対立でPVVが連立を離脱。ウィルダースは他党が「厳格な亡命政策」に同意しないことを理由に脱退を宣言し、首相ディック・スホーフが辞任、再選挙が決まった。その後、ガザ情勢をめぐるイスラエル制裁問題でNSCの外相が辞任し、連立は実質的に崩壊した。

最新の世論調査(EenVandaag)によると、PVVは31議席、緑の党・労働党連合(GroenLinks-PvdA)は25議席、キリスト教民主党(CDA)は23議席、VVDは14議席と予測されている。

選挙の最大争点は「移民問題」で、有権者の約半数が最重要と回答。PVVは移民制限と国境封鎖を訴え、左派のGroenLinks-PvdAは年間4~6万人の受け入れを容認する立場だ。9月には反移民デモが暴徒化し、警察車両の放火や左派政党事務所の破壊も起きるなど、社会の分断が深まっている。

専門家によると、移民問題は住宅不足(約43万戸)や社会保障への圧力と結び付けて語られ、右派の主張が広く浸透している。実際、オランダでは人口の16%(約290万人)が移民で、EU平均を上回る水準となっている。2024年の移民流入は31万6千人で、主にウクライナやシリアからの人々が中心だった。

社会学者マルク・ファン・オスタイエンは、「移民はもはや住宅、福祉、教育、文化などあらゆる政策分野で中心的なテーマとなっている。今後もしばらくオランダ政治を左右する」と指摘する。また、左派活動家らは、PVVの台頭以降、人々が差別的・排外的な言動を公然とする傾向が強まっていると懸念している。
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