[ブログ]外国人雇用とコンプライアンスは「これから」の必須テーマ
2025-11-10
最近、各国で移民関連のコンプライアンスが強化されつつあります。たとえばイギリスでは、企業が外国人を雇用する際の手続や遵守義務に関する費用や管理負担が増えており、その内容について分かりやすく紹介している記事があります(UK immigration fees and compliance: what employers need to know now)。この記事はイギリスに関するものですが、読み進めると「移民関連のコンプライアンス要求は確実に高まっている」ということが伝わってきます。そして、この流れは日本も例外ではありません。
日本でも求められる「受け入れ側の責任と透明性」
日本には複数の在留資格があり、その運用はそれぞれ異なります。中でも「技能実習」は制度上、受け入れ企業や監理団体に対し外部監査が義務付けられている、非常に特徴的な在留資格です。これは、外国人労働力を受け入れるにあたり、受け入れ側がきちんと適正な環境を維持し、搾取や不適切な扱いを防ぐための制度設計になっているからです。言い換えれば、「外国人を受け入れる企業は、その人たちにとっての生活・労働環境を守る責任がある」という考え方が既に制度として形になっているのです。
しかしこの「監査義務」は技能実習だけに留まる話ではありません。今後、特定技能、技術・人文知識・国際業務、家族滞在からの就労許可取得など、雇用が拡大していく領域で、企業が外国人に対して適正な労働環境を整えているか、行政が確認する場面は確実に増えていくと考えられます。
「制度が複雑だからこそ」内部監査が生きる
外国人雇用でトラブルや不許可が発生する理由の多くは、悪意ではなく「制度をよく理解していなかった」ことに起因します。たとえば、職務内容が在留資格に合っていない、残業代の支払いが曖昧、住所変更届を出していない、雇用契約と実際の勤務条件がずれている、などです。これらは、一つひとつは小さな見落としであっても、更新や永住、家族帯同申請などの場面で「適正性が疑われる」原因になりえます。
そこで重要になるのが「内部監査」という考え方です。ここでの内部監査とは、いわゆる財務監査の話ではなく、「外国人を雇用する企業として適正な状態になっているかを自分たちでチェックする仕組み」です。非常にシンプルに言えば、次のような内容です。
- 在留カード情報と就労資格が正確に管理されているか
- 職務内容が在留資格に適合しているか定期的に確認しているか
- 労働条件と実際の勤務実態にずれがないか
- 変更があった際に入管への届出が適切に行われているか
これらを整理しておくだけで、企業にとってのリスクは大きく下がります。
「外国人雇用の内部監査」は難しくない
内部監査と聞くと、「大企業の話」「専門部署が必要」と思われがちですが、実際には中小企業でも十分に実行可能です。むしろ、中小企業こそ、採用した外国人が定着し、本来の能力を発揮してくれることが企業成長に直結します。そのため、「外国人が働きやすい環境をつくること」と「行政手続の適正性を確保すること」をセットで考えることが、これからの時代には自然な経営判断となります。
まとめ:外国人雇用は「人」への投資
外国人雇用は単に「労働力確保」ではなく、「文化・経験の異なる人とともに働く」ことです。そのためには、受け入れ側の丁寧な姿勢と、制度に対する理解、そして継続的な管理が欠かせません。イギリスに限らず、世界中で外国人雇用に関するルールは整備・強化されつつあります。日本企業も、今から「外国人雇用における内部監査の仕組み」を整えることで、より安心で、持続的な組織運営と国際的な信頼を獲得していけるはずです。
