[ブログ]外国人雇用を「海外へつなぐ視点」で考えてみる
2025-11-04
外国人雇用というと「人手不足を補うため」と考えられがちですが、そこにもう一つの見方を加えることで、企業にとってより大きな価値につながる可能性があります。きっかけとなったのは、こちらの記事です。「地震の経験がまったくない外国人にどうやって身を守る方法を伝えるか?宮崎で「地震勉強会」 パンフレットの多言語化も課題 専門家は「ピクトグラム」提唱も」FNN 2025-10-25 記事自体は外国人住民を対象とした防災勉強会の内容が中心ですが、私はこれを読みながら「外国人従業員は、単に働き手というだけでなく、自社と世界をつなぐ“扉”にもなりうるのではないか」と感じました。ここでは、その着想をもとに「防災関連ビジネスの海外展開」という具体的なイメージでお話します。
外国人従業員が持つ“現地との距離感の近さ”
外国人従業員は、それぞれの母国での生活経験や価値観、ことば、文化、災害に対する考え方など、多様な視点を持っています。日本の企業が海外を相手にする際、最初に課題となるのは「現地を知らないこと」ですが、外国人従業員はその部分に自然にアクセスできる存在です。これは市場調査や現地ニーズの把握、コミュニケーション戦略の検討などに大きなヒントを与えてくれます。私はこの記事を読みながら「働く人がそのまま海外理解のガイドになりうる」という点に改めて気づきました。
防災という日本ならではの価値を世界に届ける可能性
日本は地震、台風、洪水など多くの自然災害を経験してきた国であり、その中で積み重ねてきた防災技術や備蓄ノウハウ、教育や訓練手法は世界的に高いレベルにあります。一方で、海外の中には防災意識が十分に浸透していない地域や、災害に対する備えが体系的になされていない地域も多く存在します。ここで外国人従業員が重要な役割を果たせます。例えば「自分の国ではどの災害が多いのか」「どの備えが不足しているのか」「何が受け入れられやすいか」など、現地の肌感覚を交えた意見は、製品企画やサービス設計の質を上げる助けになります。
具体的にできる小さな一歩
例えば以下のようなことから始められます。社内で使っている防災マニュアルを、外国人従業員と一緒にやさしい日本語・母国語版にしてみる。非常食や備蓄用品について、母国の家族や友人に意見を聞いてもらう。日本式の避難訓練を、外国人従業員に「説明できる状態」にしてみる。これらは単なる社内取り組みのように見えますが、そのまま「現地で再現可能な仕組み」として輸出できる可能性を秘めています。つまり、小さな改善が将来の海外展開の原型になるということです。
まとめ
外国人雇用は「足りない労働力を補う施策」だけで終わらせることもできます。しかし、もう一歩見方を広げると「自社が海外に近づくきっかけ」になります。特に防災分野は、日本が世界に価値を提供できる強い分野であり、外国人従業員はその価値を“自分の母国語の文脈”で伝えることができる存在です。まずは社内から、できることをひとつずつ始めてみることが、未来の市場への第一歩になります。
      