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移民法務支援の不足は「精神的拷問」

公開日
2025-04-20
メディア
BBC
記事要約
ウェールズにおける移民法務サービスの不足が人々に深刻な影響を及ぼし、一部では搾取の原因にもなっていると、シンクタンク「ベバン財団」が警鐘を鳴らしています。

同財団の調査によれば、2018年以降、ウェールズにおける移民法務のリーガルエイド(公的援助)を提供する機関や事務所の60%が閉鎖されました。これにより、多くの難民や移民が弁護士を見つけられず、長期間決定を待たされるなど、「感情的拷問」のような状況にあるとボランティアのYasminさん(仮名)は語ります。

移民法務分野では、弁護士が定額の報酬で長時間働かざるを得ないため、人手不足が深刻です。現在の固定報酬は413ポンドですが、政府はそれを30%引き上げ、559ポンドとする案を提示しています。ただし、これは1996年以来初めての引き上げであり、専門家たちは「遅すぎる」と懸念しています。

法務慈善団体「Asylum Justice」の法務ディレクター、ルース・ブラウン氏は、法援事務所の閉鎖により、自分たちが新規案件も多く引き受けざるを得なくなり、中には7年間も面接を待っている人もいると話します。業務量と報酬の乖離が大きく、弁護士をこの分野に呼び戻すには、さらなる支援が必要だとしています。

ベバン財団のエリノア・マティ氏は、法的支援がなければ難民認定も受けられず、就労も社会統合も進まず「法の下の正義にアクセスできない」と指摘し、悪質な偽の移民アドバイザーによる搾取の危険性も訴えています。

イギリス政府は審査制度の改善と審理日数の増加などに取り組むと述べ、ウェールズ政府も昨年12万ポンドの支援金を提供し、引き続き英国政府との協議を続けるとしています。
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