[ブログ]在留資格「特例期間」と入管誤収容について
2025-10-25
はじめに(関連記事の紹介)
先日読売新聞が報じた記事では、在留資格を有する外国人が誤って不法残留と認定され、数日間収容された事案が紹介されています。この件を受けて、在留資格変更許可申請や在留期間更新申請を行った際に働く「特例期間」の仕組みと、申請方法による注意点、そして私たち行政書士が現場で行っている予防措置についてやさしくまとめます。
特例期間とは?
在留資格の変更許可申請や在留期間更新申請を出した場合、在留期限が過ぎても一定期間(通常は2か月)に限り、日本に引き続き在留できる制度を「特例期間」と呼んでいます。要点は二つ:①申請中は直ちに不法残留にはならないこと、②その特例の存在を第三者(行政や警察)がすぐに確認できるかどうかが現場での扱いに大きく影響すること、です。
オンライン申請と窓口申請の違い
重要なポイントとして、入国管理局に窓口で申請した場合は、在留カードに「特例期間である旨」のスタンプや受理印が押されるなど、券面に明示されます。一方、オンラインで申請した場合、在留カードの券面が自動的に更新されるわけではなく、カードだけ見ても「申請中で特例期間である」ことが確認できないケースがあるため、現場で誤認されるリスクが残ります。今回の誤収容の背景には、このような情報共有の不備や現場の確認不足があった可能性が指摘されています。
「そんなことあるの?」——公権力の現場で起こりうるリスク
本来、入管内部で特例情報が共有されていれば、在留資格がある人を不法残留者と誤認して収容することはあってはなりません。しかし現実には、書類のデータ入力漏れやシステム連携の失敗、または現場の担当者がカードの裏面やオンライン受理メールを確認しなかったために誤った措置がとられることはゼロではありません。誤収容が発生した場合、本人・家族ともに大きな精神的・経済的負担を被ることになります。
行政書士が行っている予防策(私たちの実務)
私たち行政書士は、在留期限が迫った段階で申請を取り次ぐ際、次の点を必ず行い、依頼者に説明して携行してもらうようにしています。①「申請受理の証明書」を発行する——入管窓口で受理された場合は受理印のある控え、オンライン申請の場合は受信メールや受付番号のスクリーンショットを印刷・紙にして渡す。② 当該証明書に「特例期間であること(在留期限経過後も〇か月間在留可)」と申請日・受付番号・担当行政書士の連絡先を明記する(※入管公式の証明書が無くとも、行政書士が作成する受理証明として携行してもらう)。③ 常時携行を徹底するよう説明する——警察や入管に身柄を求められた際にはまず提示するよう伝えます。④ 家族や勤務先の連絡先を登録しておく——万一の拘束時に迅速に対応できるようにします。
もし誤って拘束されたら?
万が一、不当な扱いを受けて拘束された場合は次の行動を速やかに行うことが重要です。①提示可能な受理証明や申請関連書類を現場で示す。② 可能であれば弁護士や行政書士に直ちに連絡して介入を依頼する。③ 在留カード・パスポートの写しと申請の受付番号を確認しておく。私たち行政書士は、緊急連絡先を控えておくことで、拘束が長引かないよう入管や弁護士と連携して対応することができます。
日常的にできる予防措置(依頼者向けアドバイス)
普段からできることとしては、① 申請後は受付メールや受理票を必ず保存・印刷する、② 在留カードと一緒に受理証明を常時携行する、③ 外出時に在留資格に関する連絡先(行政書士や会社の担当者)を持ち歩く、④ 在留期限が近づいたら早めに相談する——といったシンプルな習慣が有効です。
まとめ(ゆったりした安心のために)
今回のような誤収容は、本来起きてはならないミスですが、現実の行政運用や現場の確認不足によって被害が生じる可能性はあります。オンライン申請の利便性は高い一方で、券面上に変化が出ないために第三者が確認しにくいという弱点があります。だからこそ、私たち行政書士は「受理証明を発行して携行してもらう」ことを徹底し、依頼者が安心して暮らせるようサポートしています。何か不安があれば早めに相談してください。
