[ブログ]雇用主が知っておきたい、外国人雇用のリスクと対応
2025-10-21
こんにちは。行政書士として、外国人を雇用されている、あるいはこれから雇用を検討されている雇用主の方に向けてお伝えしたいポイントがあります。最近、新聞等でも「在留期限を更新せず不法残留していた」外国人が発覚し、雇用主としても注意すべき点が改めて浮かび上がっています。
1.雇用主が「罪」に問われる可能性について
例えば、雇用主が適切な在留資格・就労資格を持たない外国人を雇っていたり、雇用中に在留カードの在留期限が切れているのを見落としていたりする場合、雇用主側も法令上の責任を問われる可能性があります。具体的には、出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2に規定される「不法就労助長罪」です。この罪は「働くことが認められていない外国人を雇用した」「在留資格の活動範囲を超えて就労させた」など、雇用主側の故意・過失を問うものです。たとえ「知らなかった」でも、在留カードの確認を怠っていたり、業務内容が在留資格の範囲内かを確認しなかったりすると、過失があるとして処罰対象となり得ます。主な罰則としては、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方という厳しいものがあります。
2.雇用主が怠ってはならないこと(“リスクを避けるためのチェックリスト”)
では、「うっかり」で法的リスクを抱えないために、雇用主として次のような対応を必ずしておきましょう。
- 在留カードとパスポートの確認・記録:雇用前に、外国人労働者の在留カード(実物)を提示してもらい、在留資格、在留期限、就労制限の有無、裏面の「資格外活動許可」欄などを確認・コピーして保存しましょう。
- 在留資格の活動内容が予定業務と合致しているかを確認:「この在留資格ならこの仕事をしてもよいか」を確認してください。例えば、単純労働が認められていない資格だったり、週28時間以内という制限がある留学生ビザで常勤フルタイム働かせていたりするケースがあります。
- 在留期限の管理・更新のフォロー:在留期限が切れていたり、更新手続きを行っていなかったりすると、その時点で「就労可能な状態」ではなくなってしまいます。期限を切らさないよう、社内でリマインダーを設けるなどしましょう。
- 外国人雇用状況の届出:雇い入れた外国人または離職した外国人について、所定の様式でハローワーク等に届出を行う義務があります。これを怠ると罰則(30万円以下の罰金)があることに注意してください。
- 労働条件・働き方の適法性:在留資格・労働契約・労働時間・賃金など、外国人だからといって特別扱いせず、国内の労働法・就労ルールに即した契約・管理を行いましょう。言語が異なる場合には説明を丁寧にし、誤解を生まないよう配慮することも大切です。
3.まとめ
外国人を雇用すること自体は、企業が多様な人材を活用する大きなチャンスです。しかし、その背景には「適法な雇用」「在留資格の正しい理解」「雇用主としての義務の履行」が欠かせません。ちょっとした見落としや「慣れ」から、思わぬ法的リスクに発展することもあります。もし「これで大丈夫かな?」と感じることがあれば、早めに専門家(行政書士など)に相談して、社内体制を整えておくことを強くおすすめします。安心して外国人材を迎え入れ、事業を前に進めていきましょう。