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トランプ氏の移民政策と「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」の主張を検証する

公開日
2025-07-03
メディア
ALJAZEERA
記事要約
ドナルド・トランプ前米大統領は、フロリダ州エバーグレーズに新設された移民収容施設「アリゲーター・アルカトラズ」を視察し、今後「極めて危険な移民」を収容すると発言した。この施設は5,000床規模で、年間4億5,000万ドルの運営費用はFEMA(連邦緊急事態管理庁)の予算から拠出される予定。

トランプは同時に、自身が推進する大型の税・歳出法案「One Big Beautiful Bill」が上院を通過したと報告。この法案には4年間で1,500億ドルの移民対策予算が含まれており、拘束施設の拡充などを目的としている。

記者会見では、トランプは移民1人あたりの生涯コストを約7万ドルと主張したが、これは移民抑制を支持するシンクタンク「移民研究センター」の推計に基づいており、他の調査では移民が経済にプラスの影響を与えているとする見解もある。たとえば、米議会予算局(CBO)は、バイデン政権下での移民増加が10年間でGDPを8.9兆ドル押し上げ、税収増により連邦赤字を1兆ドル削減すると予測している。

また、トランプは「バイデン政権はオートペン(自動署名機)で政策を進めている」とする陰謀論にも言及したが、その証拠は一切存在せず、法的にもオートペンの使用は合法とされている。

さらに、トランプは自身の法案が「Medicaid(低所得者向け医療保険)」の無駄や詐欺のみを対象にしていると主張したが、実際には移民排除や労働義務の導入、性別適合医療への支払い停止など、制度全体の構造的変更が含まれており、この発言も事実と異なる。

また、「バイデン政権下で2,100万人の不法移民が流入した」との発言も虚偽で、実際の国境での移民との遭遇件数は約1,000万件であり、重複や国外退去も多く含まれる。実際に米国内に留め置かれたのは約380万人に過ぎない。

全体として、トランプの発言には誤解や事実誤認が多く含まれており、複数の専門機関がその誤りを指摘している。
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