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目に見えない門番:国土安全保障省による移民審査におけるAI活用の拡大

公開日
2025-05-09
メディア
Immigration Impact
記事要約
アメリカ国土安全保障省(DHS)は2024年4月30日、同省内で使用されている非機密かつ非機密性のAI活用事例をまとめた最新のリストを公開し、AIがすでに移民取締りに深く関与している実態が明らかになりました。今回のリストには、移民関連機関によって運用されている105件のAI活用事例が記載されており、庇護申請審査、国境監視、不正検出など広範な分野に及んでいます。

主な内訳は以下の通りです:

税関・国境警備局(CBP):59件(うち71%が「法と司法」関連)

移民・関税執行局(ICE):23件(うち65%が「法と司法」関連)

米国市民権・移民局(USCIS):18件(うち39%が「法と司法」関連)

DHS本部:5件

特に注目されるAIの用途には、顔認識やバイオメトリック識別、SNSなどのオープンソース情報の分析(例:Babelシステム)、犯罪捜査支援(例:ICEのEmail Analytics)などがあり、これらは移民管理や審査、取締りの効率化を図っています。

全体のうち27件は、個人の権利・自由・プライバシー・機会へのアクセスに影響を与える「権利影響型」として分類されており、CBPが14件と最多です。また、28件は導入初期段階のため評価未定とされています。

一方、AIによる審査結果の透明性や、AIが誤って申請を不正と判断した場合の影響、異議申し立ての手段などに関しては多くの疑問が残されており、移民弁護士や支援者の間で懸念が高まっています。

本記事はDHSによるAIの移民政策への統合に関する連載の第一弾であり、今後、意思決定過程でのAIの役割、国境での監視技術、バイアスのリスク、透明性と責任あるシステム構築の可能性について深掘りしていく予定です。
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