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オピニオン | 移民問題におけるマーク・カーニーとピエール・ポワリエヴルの最も重要な違いは政策とは無関係である

公開日
2025-04-27
メディア
TORONTO STAR
記事要約
移民問題は、今回のカナダ連邦選挙では注目されていませんが、つい最近まで世論を二分する重要なテーマでした。カナダの移民制度は長年「成功モデル」とされてきましたが、実際には高度な教育を受けた移民が能力に見合わない仕事に就くなど、古くから問題を抱えてきました。

トルドー政権下で移民数は大幅に増加し、2025年には年間50万人の永住者受け入れが予定されています。これに加えて、留学生や一時的外国人労働者の増加により、住宅不足や医療・雇用への圧力が強まり、国民の不満が高まっています。

2024年、自由党政権は移民数の抑制に転じ、永住者数を2027年までに36万5千人に減らすと発表し、一時滞在者数の制限も初めて導入しました。リーダーのマーク・カーニーは、移民の経済的貢献を重視しつつ、入国管理の強化やフランス語圏移民の拡大などを公約に掲げています。

一方、保守党のピエール・ポワリエーヴルは、リベラルの「急進的な」移民政策がカナダの物価高騰を招いたと非難し、年間20〜25万人の移民数への縮小や一時的滞在者の大幅削減を主張しています。また、学生ビザ保持者への犯罪歴チェックや労働者への労組承認義務などの厳格な管理を提案しています。

両党とも移民数の削減を掲げているものの、教育機関の財政難を留学生に頼っている現状や、特定産業での外国人労働者依存といった構造的な要因には踏み込めていません。これにより、多くの一時滞在者が永住の機会を求めながらも滞在資格を失い、不安定な立場に置かれています。

今後の政権は、ビザの期限切れ後にどう対処するのか、無認可移民の増加や強制送還の現実にどう向き合うのかを問われることになります。

また、ポワリエーヴルによる「法を破った移民の国外退去」や「カナダ的価値観への同化」を求める攻撃的な言説は、分断や排外的感情を助長しかねません。カナダの移民制度の強みを維持するためには、多文化共生を掲げ、多様性を尊重し、移民が社会に貢献できる土台を整える包括的な改革が必要です。
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