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労働党と移民問題に関するガーディアン紙の見解:枠組みを変える時

公開日
2025-05-08
メディア
The Guardian
記事要約
英国では長年、移民に関する議論が「移民が多すぎる」「その原因は政府の無能」「経済的損失なしに移民数を減らせる」という三つの前提に基づいて行われてきました。今月発表予定の政府白書でもこうした前提が反映される見通しですが、その背景には反移民を掲げるナイジェル・ファラージ率いる「リフォームUK」の地方選での健闘があります。

政府は、移民規制の強化を通じて有権者の不安に対応しようとしていますが、反移民感情は必ずしも移民が多い地域で強いわけではなく、ロンドンのような多民族都市よりも、移民が少ない地域(例:リンカンシャー)でリフォーム支持が高まっています。

移民数が増えると政府は非難されますが、減っても評価されることはほとんどありません。実際、純移民数は2023年の過去最高90万6千人から、昨年7月までには72万8千人に減少。今後は2028年までに約31万5千人に落ち着く見通しですが、それでも反移民の世論は衰えていません。

これは有権者の不安がすべて政治家やメディアによって作られたものだというわけではなく、文化的・社会的な変化や経済的不安の中で移民が競争相手と見なされやすいという現実があるためです。

移民が経済や社会に貢献しているという事実(例:NHSの医療従事者、大学の財政、介護労働)を政府が十分に訴えないことで、移民は「負担」としか見られていません。

労働党を含むどの政党もこの事実を公に主張する勇気を持っておらず、非現実的な移民数目標を設定すればファラージの勢いを抑えられると考えていますが、そうした数字は存在しません。ファラージは常に「もっと減らせ」と主張できるからです。

労働党に求められるのは、現実を無視した反移民競争に加わるのではなく、その危険性を正面から指摘し、建設的な議論をリードすることです。
タグ
英国