世界の移民・難民
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タイの移民制度改革が計画される。バンコクは旅行者、外国人居住者、難民に対する政策を再構築するため、内務省の新部門を提案している。

公開日
2025-05-06
メディア
TTW
記事要約
タイのアヌティン内相が提案した「内務省内に移民庁を新設する構想」は、観光客、外国人労働者、難民、そしてタイの国際的な関係に大きな影響を与えるとみられている。この改革案は、これまで治安重視だった移民政策の枠組みを大きく転換するもので、観光やビジネス、雇用、避難先としてのタイの魅力を高める可能性がある。

専門家や人権団体は、現行の移民制度を「時代遅れで非効率的」と批判しており、業務の一元化によって手続きの簡素化、透明性の向上、人道的な対応が進むと期待されている。しかし、移民制度の効果的な運用には、現場に蔓延する汚職の根絶が不可欠であり、内部の腐敗に切り込まなければ改革の信頼性は確保できないという指摘もある。

また、現行制度は不法滞在者や難民を一律に「脅威」と見なす厳格な治安的アプローチが支配的で、人道的配慮に欠けている。過去にはミャンマーの政治難民やウイグル人の強制送還などが国際的な批判を浴び、タイの人権意識や国際的信頼を損なった。新たな移民庁には、こうした問題を改善し、難民や庇護申請者にも配慮した柔軟な対応が期待される。

提案されている新移民庁は、現在警察、外務省、国家安全保障会議(NSC)、社会開発・人間安全省など複数の機関に分散している業務を統合するもので、在留許可の発行、就労許可、国籍取得、市民登録など幅広い行政機能を担うことになる。これにより外国人の手続きが一元化され、タイへの投資や居住のハードルが下がると予想されている。

内務省はこの構想を年内に内閣・国会へ提出する方針で、迅速な立法と実施が改革の成功を左右するとされている。改革は業界関係者や人権団体からも支持されており、単なる組織改編にとどまらず、汚職対策や制度の近代化、人道的視点の導入が不可欠だと強調されている。

この移民改革が実現すれば、タイは国際的なイメージを大きく改善し、観光やビジネス、投資の面でも魅力ある国として評価される可能性が高まる。特に、難民や外国人労働者にとっても、より公正で人道的な制度への転換となることが期待されている。
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タイ