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オーストラリアにはかつて、不法滞在者に法的地位を与える「移民恩赦」があったが、再び導入できるだろうか?

公開日
2025-04-27
メディア
The Conversation
記事要約
1972年、ホイットラム労働党政権の誕生とともに、白豪主義の終焉と移民制度の改革が進められた。その中で1974年、オーストラリア初の移民「恩赦(アムネスティ)」が導入され、在留資格のない外国人に罰則なしで合法化の道が開かれた。この制度は後に1976年と1980年にも、労働党・自由党両政権の下で繰り返し実施され、いずれも超党派で支持された。

最初の1974年の恩赦は5か月間実施され、3年以上国内に居住し「善良な人物」であることが条件だった。続く1976年にはフレーザー政権下で滞在超過者を対象に広範な恩赦が実施され、1980年にも「地位正常化プログラム」として再び実施。1980年には約1万1,000件、1万4,000人以上が申請した。

成功の鍵は、簡素で包括的な基準、明確な申請手続き、信頼構築のための広報活動、そして市民権への明確な道筋だった。特に1980年の恩赦では、情報を48言語に翻訳し、各国語メディアを通じて広報した。

現在、オーストラリアには7万人以上の在留資格のない外国人が暮らしており、多くは長年定住して労働力不足を補っているが、搾取や強制送還のリスクにさらされている。また、庇護希望者も法的地位が不安定な状態にある。

過去の事例から、移民恩赦は人道的かつ費用対効果の高い対策であり、政治的意思があれば今後も実現可能であると示されている。選挙期間はこのような移民政策の前向きな議論を進める好機にもなり得る。
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